2008年の春分にwalk9のスタート地点である松江から島根原発まで歩いてから、6年が経ちました。あの時歩みを共にした人達との縁は今も続いています。それぞれの歩む道は違えど、同じ方向に向かって助け合いながら生きているという実感は強まるばかりです。walk9の面々が韓国台湾を歩いていた頃、僕は台湾の原発反対運動の中に飛び込んだり、生物多様性についての国際会議COP10の会場でアクションを起こしたり、国境を越えた連帯の道を模索し続けていました。その中で何度も「日本政府には共感出来ないが日本国民とはもっと繋がりたいと思っている」という声を聞きました。


中国に伝わる古語に「分断して統括せよ」という言葉があります。しもじもの民たちが揉め事を起こしているうちは、おかみに楯突いてくることはない、という意味です。

今の社会はまさに、競争と対立の中に放り込まれた私達が、小さな世界の中で喧々諤々を繰り返している分断の世界。

たった今も世界の銀行家、資本家達は企業間の競争を促し、国家間に紛争の火種を振りまき、マスメディアは対立を煽り続けています。しかし、国境を超えて、国家を超えて、個人同士で繋がってみると、対立するどころか、お互いの足りないところを補いあえる可能性、助けあえる可能性ばかりが思い浮かびます。マスメディアの報道に乗せられて対立構造の中に放り込まれるのではなく、直接出会うことによってお互いのイメージを払拭しあう事が、戦争の火種がくすぶる今こそ必要なのではないかと思います。


様々な宗教対立、民族紛争を未然に防いできたトランセンド・インターナショナルヨハン・ガルトゥングは「本当の平和とは “戦争をしない” というものではない。それらはただの停戦であり “後ろ向きな平和” である。本当の平和とは、お互いの望むものをしっかり聞きあった上でお互いの望みを叶えるために協力関係を作って取り組んでいる、そのプロセスのことである」といいます。

お互いを知り、語らい、コラボレーションする。この地道で丁寧な取り組みの積み重ねこそが、仕組まれた対立という幻想を超えていく道ではないかと思います。


この10月に同じ韓国内で開催される「生物多様性条約締約国会議COP12」と「平和感謝祭」。

マツリゴトの現場、マツリの現場で生まれる新たな出会いと協力関係。

思いを共にする仲間同士が出会い、語らい、未来に向かって行動を共にする貴重な機会が待っています。デモや抗議行動は、環境破壊や人殺しを食い止める為のディフェンスとして必要なもの。しかし、そのような形で戦さのない世界を作るだけでなく、出会いや助け合いや支え合いやコラボレーションといった共同作業の場を築いていく事が、平和的な文化、平和的な関係性を創造していく道を切り開いていくのだと思います。

そして、新たな出会いと協働の積み重ねによって、私たちは国家や国境を越えた地球人としてのアイデンティティを創造していくのでしょう。


一歩一歩の歩みに祈りを。

一つ一つの出会いに愛と敬意と感謝を。

私たちの歩む道が、民族の違いを多様性として受け入れあえる真の平和へと繋がっていくことを心から願います。